魂柱を倒した〜〜


弦の張り替えでいつものように全弦を外して交換していました。

ある時、カタン…カラカラ…という音がヴァイオリンの中でしてきました。

ん!?何の音だ?

ヴァイオリン本体の中をf字孔から覗くと…「ゲッ!!」

魂柱が倒れている!!

独学練習生のポチは、無謀にもここでも独学魂を発揮しようと、倒れた魂柱にゼムクリップを刺して立て直しをしようとしましたが失敗。その後どうしようもなく工房へ持ち込むこととなりました。

工房のショーウィンドウには沢山のヴァイオリンが陳列されていました。早速工房の人に楽器を手渡しまして、待っているうちに出来上がるとのことでした。

すると、この工房に一人の男性が「どうも〜」と言った感じで入ってきました。その男性は暫く店内ショーウィンドウの楽器たちを見ながら工房の人と話をしていました。そのうち「この楽器弾いていい?」と言ってヴァイオリンを手に取りました。でも手頃な弓が見当たりませんでした。

ポチの楽器はこの時、魂柱の立て直しで工房の奥へ行ってしまっているのは楽器本体だけで、ケースその他のものはカウンターの上でした。

その男性はポチの弓を見て「この弓を借りていい?」って工房の人に言うと、工房の人が「あ、それはこちらのお客様のです」と言われたので、その男性とポチと目が合って「あ、失礼しました」「いえいえ」なんていう会話を交わしました。

その後、奥から工房の人が弓を持ってきました。

その男性がヴァイオリンを弾き始めたら…うわぁ〜すごい!張りがあって艶があって迫力があって…。どこかの楽団に所属している方だったのか、こんなに間近でしかも聴いている人はその工房の受け付けの人とポチだけ。でも工房の人はお仕事をされていて、本当に聴いているのはポチ一人。ポチだけのためのコンサートみたい。

とにかく鳥肌が立つくらい感動したのを今でも覚えています。

魂柱修理も終わり工房をあとにしたんですが、あの生演奏は忘れられません。

魂柱を倒したお陰で思わぬ幸運に恵まれました。

話は戻りますが、それからは弦の張り替えは、弦を一本ずつ張り替えるようにしています。




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